西郷隆盛、幕末・維新史、薩摩藩に関する話題など、幅広く書き込んでいます
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 先週末は歴史系の講座・講演会に出席して来ましたので、その感想や報告などを2回に分けて簡単に書きたいと思います。

 まず最初は、鹿児島イベント情報にも掲載していますが、先週8月26日(金)に大阪企業家ミュージアムで開催されました

大阪検定・大阪企業家ミュージアム連携事業
五代友厚を学ぶ連続講座
第1回「五代友厚のチャレンジとイノベーション(鹿児島編)」

 に出席してきたことについてです。

 同講座の講演者は、随分以前からお世話になっておりますが、以前鹿児島県歴史資料センター黎明館で学芸員をされており、現在は鹿児島県知事公室政策調整課で、明治維新150周年記念事業を担当されておられる吉満庄司先生です。

「五代友厚の経済感覚を育んだ 薩摩・長崎・ヨーロッパ」

 というタイトルを付しての講座だったのですが、とても分かりやすく、そして興味深い講座でした。

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講座の様子

 昨今、NHKの朝の連続ドラマ『あさが来た』で脚光を浴びている友厚(何だか才助と書く方がしっくり来るのですが)ですが、この講座の中では、その友厚の真像やその国家観についても詳しく触れられた他、総括として、これまでの鹿児島における明治維新観の再検証についても話が及び、私自身、とても貴重な話が聞けたと思っています。

「鹿児島における明治維新観の再検証」

 という言葉は、私が勝手に作った造語ですが、これまで鹿児島で語られ、研究されてきた幕末維新史はと言うと、どちらかと言えば西郷や大久保が中心であり、少し言葉が過ぎる点はありますが、いわゆる「英雄伝的」な側面が多かったように思います。
 しかしながら、西郷や大久保の二人の活躍だけで歴史を動かせたわけもなく、様々な人物、例えば、小松帯刀であったり、五代友厚であったり、そして島津久光であったりと、そういった数多くの人物が薩摩藩の原動力となり、大きな幕末の歴史を動かしたと言えます。
 平成30年に明治維新150周年を迎えるにあたり、これまでの薩摩藩の明治維新観を少し違う角度から眺め、多角的そして多面的に見ることで明治維新を捉えなおす、という観点から、現在、様々な明治維新150周年事業を進められているとの話を聞き、私もとても納得した次第です。

 また、同講座終了後、ものすごく貴重な史料を直接見ることが出来ましたので、その報告も書きたいと思います。
 
 その史料とは、五代秀堯筆写「新訂万国全図」です。

 五代友厚のことを語る際、必ずと言って良いほど出てくるエピソードが一つあります。

 友厚がまだ少年であった14歳の時、父である秀堯が外国から購入した世界地図の模写を島津斉彬から借用した際、友厚はこれを二枚書き写して、一枚は斉彬に対して献上し、残った一枚を自宅の書斎の壁に貼り、日夜これを眺めて過ごしました。
 友厚が西洋のことに関心を持ち、そして壮大な世界観を持つにいたったのは、この事が大きなきっかけとなったのです。

 ちなみに、このエピソードについて、『五代友厚伝記資料第一巻』には次のように書かれています。

君年十四、太守斉彬公、曾て外国にて購ふ所の與地図の臨摹を、父秀堯君に委せらる。秀堯君、又之を君に命ず。君喜んで二葉を摹し、其一葉は公に呈し、一葉を常に書斎の壁間に掲げ、文武の余暇、日夜凝視して曰く、嗚呼、英国の盛んなる、眇焉たる一孤島を以て、克く全世界を雄視す、聞くが如きは、其版図に日没なりと。

 先程も書きましたが、このエピソードは五代友厚のことを紹介する際、必ずと言って良いほど語られるものなのですが、この度大阪において新たに発見された史料において、このエピソードはどうやら少し違っていることが分かりました。
 まず、下記の新聞記事を参考にご覧頂きたいのですが、

五代友厚の父が模写した世界地図確認 子孫「古里・鹿児島で保管を」(2016年8月24日付け、南日本新聞)
http://373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=78208

 友厚の兄である徳夫の子孫宅で、二人の父の秀堯が書き写した世界地図(新訂万国全図)が見つかり、それに書き加えられた由緒書きによると、この世界地図は、天保10(1839)年9月朔日から晦日の30日間をかけて、当時13歳であった徳夫や妻(本田氏)の協力を得て、秀堯自身が書き写したものだということです。
 友厚は天保6(1835)年の生まれですので、当時はまだ4歳の幼子です。
 当然、世界地図の筆写に関与できるはずもなく、最初に紹介した有名なあのエピソードは、真実とは少し異なっていて、友厚が眺めていた世界地図とは、友厚自身が筆写したものではなく、父の秀堯が書き写したものだったということが、分かったということです。
(五代家には他にも別の世界地図があり、それが友厚が筆写したものだった、ということもあり得なくはないですが、現状では先程述べたことが真相のような気がします)

 この貴重な五代秀堯筆写「新訂万国全図」ですが、実は今回の講座終了後、実物を見ることが出来ました。
 感動でした。ほんと。
 この世界地図を友厚が日夜眺め、西洋諸国に思いを馳せていたと思うと、少し鳥肌が立ちました。
 今回、特別に撮影を許可して頂きましたので、その地図を本ブログにも掲載いたします。

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五代秀堯筆写「新訂万国全図」

 かなり大きな地図のため、全体像を撮影することは出来ませんでしたが、まさに時代の息吹を感じさせてくれるような史料でした。
 この五代秀堯筆写「新訂万国全図」については、鹿児島歴史資料センター黎明館に寄託されるようですので、またお目にかかれる機会があろうかと思います。公開の際は、是非ご覧になって頂きたい逸品です。

 最後に、この五代友厚を学ぶ連続講座は、大阪大学名誉教授の宮本又郎先生の講演で「第2回五代友厚のチャレンジとイノベーション(大阪編)」も開催予定ですが、参加申し込みをしたところ、現在満席で参加は難しいようです。
 ちなみに、宮本先生は、下記10月22日に開催される「明治維新150周年記念シンポジウム」でも基調講演をされる予定ですので、こちらは鹿児島近郊にお住まいの方は是非ご参加ください。

明治維新150周年記念シンポジウム
日時:平成28年10月22日(土)
場所:鹿児島市民文化ホール(第2ホール)
https://www.pref.kagoshima.jp/aa03/kensei/sesaku/m150sympo.html


 さて、次回は、8月28日(日)に開催された、大阪龍馬会主催の歴史作家・桐野作人先生の講演「薩長同盟論の現在」について書きたいと思います。
 この講演会、「勉強になりました」という簡単な言葉では片づけられないほどに、感動するレベルの講演会であったことだけは、先に書いておきます。
 とにかく、面白かったです!
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【2016/09/01 17:20】 | 幕末・維新
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