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西郷隆盛、幕末・維新史、薩摩藩に関する話題など、幅広く書き込んでいます     (大河ドラマ『西郷どん』の解説も是非お読みください)
少し遅れましたが、明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

大河ドラマ『西郷どん』の放送が終了し、世の中には「西郷どんロス」なんていう言葉も聞かれますが、私がまさしくその西郷どんロスの真っ只中でして、昨年は『西郷どん』の感想&小解説ブログの執筆で忙しく過ごしていましたが、現在それも無くなり、少し手持ち無沙汰の毎日を過ごしています。
今になって、『西郷どん』の影響は大きかったと身に染みて感じています。

さて、皆さまは、お正月はどのように過ごされましたか?
私はいつものとおり宮崎で年を越しました。
宮崎はさすが南国です。車を運転していると、強い日差しで室内温度が上昇し、クーラーを入れたくなったほど暖かい日がありました。

正月の三が日は食っちゃ寝のグータラな生活を過ごしましたが、年が明けた1月4日、宮崎県都城市の都城島津邸に足を運び、昨年発見された新出の西郷隆盛の漢詩を見てきました。
私自身、西郷の漢詩はこれまで数えきれないほど見てきましたが、今回、都城島津邸内の都城島津伝承館で公開されていたものは圧巻でした。(画像参照)

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まず、西郷の漢詩は掛け軸に表装されたものがほとんどですので、このように巻紙に書かれたものは、大変珍しいものだと言えます。
この漢詩は、都城島津家家臣で西郷とも交流があったとされる木幡栄周が所有し、それが現代に伝わったものだそうですが、最後の署名部分を見ると「南洲書」とありますので、ここに書かれている漢詩は、西郷が独自に作詩したオリジナルの漢詩ではなく、他者の言葉を引用して書かれたものであることが分かります。

西郷隆盛という人物は、漢詩等を書く際、「南洲書」「南洲」という署名を書き分けています。
西郷が他者の言葉等を利用して書いたものには「南洲書」と、一方西郷自らが作詩したものについては「南洲」と署名してあり、最後に「書」と書かれてあるか否かによって、その言葉が西郷の造語であるかどうかが見極められるということです。

例えば、西郷が好んで揮ごうした言葉に「敬天愛人」というものがありますが、そこには必ず「南洲書」との署名があります。
つまり、これは前述したとおり、「敬天愛人」という言葉が、西郷独自のものではなく、他者の言葉からの引用であることを意味しているのです。

「敬天愛人」は、今では西郷と一体化していると言えるほど大変有名な言葉となっていますが、実は元をただせば西郷オリジナルの造語ではありません。
イギリス人の作家で医師でもあったサミュエル・スマイルズという人物が執筆した『自助論』という書物を元幕臣で思想家の中村正直(敬宇)が『西国立志編』として、明治4(1871)年に翻訳・刊行していますが、その中に「敬天愛人」という言葉が書かれています。
中村は明治元(1868)年にも「敬天愛人説」という論考を執筆していますが、西郷はこれら中村が使った「敬天愛人」という言葉に感化され、それを好んで揮ごうするようになったと言われています。西郷自らが悟った天命への思想と中村の「敬天愛人」の言葉が符合したためと言えるでしょう。

以上のように、西郷が書いた「南洲書」という署名は、「私(南洲)が書写した」という意味で使われていると言えますが、その例にもれず、昨年都城で発見された前出の新出漢詩も、陳龍川の「酌古論」から引用された言葉が記されています。
西郷は陳龍川の書を好んで読んでおり、その影響は、西郷の死後に旧庄内藩士たちが編纂・刊行した『南洲翁遺訓』内にも色濃く表れているのです。

この漢詩の前半部分には、

「平居暇日規模術略定於胸中者久矣、一旦遇事而發之、如坐千仭而転圓石、其勇決之勢、殆有不可禦者、故其用力易、而其収功也大、非徑行無謀、僥倖以求勝也」(都城島津伝承館の展示パネルから引用)

との言葉が書かれていますが、この部分を少し私流に意訳すると、

「常日頃から、心中に物事の本質を捉え、志を定めている者は、一旦事にあたって行動する際、高い山から丸い石を転がすかの如く、その勇断には勢いがつき、もはやそれを防ぐ手立てはない。そうなれば、力を用いることはた易いこととなり、その結果、大きな功を収めることにも繋がる。また、自らの信念に基づいた行動が無謀なものでなければ、幸運にも勝ちを求めることができるであろう」

という感じでしょうか。
つまり、西郷は木幡栄周に対し、武士としての日頃の心構えを説いているということです。

「平素から準備を怠らず、志を深めていれば、いざという時に大きな力となり、事は必ず成功する」

ということですね。
まさに西郷らしい言葉であると言えるのではないでしょうか。


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【2019/01/17 19:00】 | 西郷隆盛
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鹿児島県では、明治維新150周年を契機に、県内外の若手研究者に対し、研究経費を助成することで、明治維新期の薩摩藩(鹿児島)に関する研究の深化を図る事業を行っていますが、その研究成果発表会が下記のとおり開催されます。

開催日時:平成31年2月2日(土)13時~17時 [開場]12時30分
会場:かごしま県民交流センター 県民ホール
入場料等:入場無料、先着590名

詳しくは下記URLをご参照ください。
https://www.pref.kagoshima.jp/af23/h30wakatehappyou.html

若手研究者育成事業研究成果発表会チラシ_1

若手研究者育成事業研究成果発表会チラシ_2


【2019/01/13 18:00】 | イベント案内
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宮崎市の安井息軒記念館において、下記日程で企画展「自由民権運動と息軒の弟子たち」が開催されます。

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会期:平成31年1月19日(土)~3月10日(日) 9時~16時半
会場:宮崎市安井息軒記念館
※入館無料
※休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館)、祝日の翌日(土日を除く)

詳しくは下記URLをご参照ください。
http://yasuisokken.qcweb.jp/


【2019/01/11 18:00】 | イベント案内
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