FC2ブログ
西郷隆盛、幕末・維新史、薩摩藩に関する話題など、幅広く書き込んでいます
第7回でスポットが当たったのは、西郷隆盛の最初の妻のスガ(須賀)と母のマサ(満佐)でした。
西郷はその生涯において三人の妻を持ちました。スガ、愛加那、イトの三人ですが、『西郷どん』ではいずれの人物も大きく取り上げられる形となるそうです。
何せ「西郷隆盛は究極のモテ男」というのが、今年の大河のコンセプトですからね(笑)。

さて、まずはスガのことからですが、ドラマ内でも描かれていたとおり、西郷とスガが結婚したのは嘉永5(1852)年、西郷が24歳の時です。
前回のジョン万次郎話が嘉永4年のことでしたので、時系列的には一年進行したことになります。
スガは家老座書役・伊集院直五郎兼善の娘で、後の子爵・伊集院兼寛の姉にあたりますが、西郷が両親の勧めにより結婚したことは分かっています。
西郷は妹・琴の夫である市来正之丞に宛てた手紙の中で、

「両親よりめとらせ候妻を滅後追出し」

と、「両親の勧めにより娶った妻を両親の死後に離縁した」と書いているからです。

次回か次々回に描かれることになるかと思いますが、この手紙にもあるとおり、西郷とスガは結婚して2年後の安政元(1854)年に離婚しました。
ただ、二人の離婚の原因は定かでありません。
一般には、二人が結婚した頃の西郷家は経済的にとても厳しく、生活も苦しかったことから、スガの気苦労は絶えなかったと伝えられ、実家の伊集院家がそんなスガのことを見かねて、彼女を自主的に引き取ったと言われています。
また、西郷と離婚後のスガについては、どのような生涯を送ったのかも全く分かりません。

それにしても、今回は少しスガのことを悪く描き過ぎではないでしょうか?
まるで西郷家に嫁に来たことが不服であるかのように無愛想な態度を示すスガでしたから。
私は平成2年の大河ドラマ『翔ぶが如く』で同じくスガを演じた(作中では俊(トシ)という名前でした)南果歩さんの健気な奮闘ぶりが好印象でしたので、今回のようなスガの描き方は、ドラマを盛り上げるためにせよ、もう少しやり方があったのでは? と率直にそう感じました。
何せ次回のタイトルは「不吉な嫁」ですからね(苦笑)。

私が思うに、脚本家の中園ミホさんは、自身の作品である朝ドラ『花子とアン』と同じ手法を取ったのでしょう。
中園さんは同ドラマにおいて、ドラマのもう一人の主役でもある柳原白蓮を魅力的な女性とするため、その義母にあたる宮崎槌を大変意地悪な姑として描きました。
しかしながら、周知のとおり実際の槌はそのような人物ではなく、人柄も良く、宮崎家を支えた大変立派な女性であったからです。
おそらく今回の『西郷どん』において、中園さんは後の妻となるイトの器量良しを表現するために、同じような対比法を取り、スガをあのような女性に仕立てたのでしょう。

そして、西郷の母のマサも亡くなってしまいましたね。
ドラマ内でも描かれていましたが、嘉永5(1852)年という年は、西郷家にとって厄年とも言える一年でした。7月に祖父・龍右衛門、9月に父・吉兵衛、11月に母・マサの三人が相次いで亡くなったからです。
少し講談的な要素が強い書物ではありますが、明治31年に発行された村井弦斎『西郷隆盛一代記』によると、マサは死の数日前、西郷に対して次のように言ったとあります。(セリフを現代風にアレンジしました)

「私が元気な体であれば、つてを求めてお前を江戸に上らせるのですが、病のためにそれも叶わないので残念です。私が死んだ後、家が落ち着いたら、有村殿の後を追って江戸へ上り、名を上げるのですよ」

まさに溢れんばかりの母の愛を感じますよね。

また、『薩藩家庭教育の実際』という昭和13年に出版された小冊子には、マサの人物像が次のように書かれています。

「翁の母堂満佐子刀自は生れつき体格雄偉、而も男勝りの気象をもち、小事に齷齪(あくせく)せぬ人であった。加之、智あり、熱あり、果断勇決の点に至っては男子と雖も一歩を譲るやうな人物であったので、「男なりせば御家老にもなるべき人だ」と言はれる程であった」

少し大げさな書きようではありますが、西郷に負けず劣らず、マサも大変豪快な女性だったのかもしれませんね。
ちなみに西郷は、どんな多忙な日であっても、父母の命日には必ず木綿の紋付羽織を着て、粗末な小倉袴をはき、お墓参りをしたというエピソードも残っています。

最後に余談ですが、大久保の母・フクが亡くなった際、西郷は大久保に対し、元治元(1864)年9月15日付けで次のようなとても心のこもった悔やみ状を出しています。(旧字等は読みやすくしました)


「御賢母さま、御養生叶わせられざる段、驚き入る仕合いに御座候。追々承り候ところ、御難症の由は承り居り候得共、例の御持病強き方にて、肌持も能く罷り成り候に付き、追日御快方と相考え居り候ところ、存外の次第、さぞ御愁傷の筈と想像やる方なき事共に御座候。毎年の御不幸打ち続き、御悲心のところ、私共さえ堪え難き事に御座候」


大久保の母の死を伝え聞いた西郷が、まさに自分のことのように悲しんでいる様子がうかがえます。
大久保はその前年に父・次右衛門利世を亡くしていました。
相次いで父母を亡くした経験のある西郷だからこそ、その大久保の深い悲しみを痛いほど理解できたのではないでしょうか。

DSCF1027.jpg

FC2blog テーマ:大河ドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

【2018/02/18 20:46】 | NHK大河ドラマ「西郷どん」
トラックバック(1) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
皆さんこんばんは。今回は今年の大河ドラマ『西郷どん』第6~10回の感想です。まずはあらすじ。新藩主島津斉彬(渡辺謙)主催の御前相撲で斉彬を投げ飛ばした西郷吉之助(鈴木亮平)は牢に入れられてしまう。そこで出会ったのは謎の言葉を話す男(劇団ひとり)。牢役人に暗殺
2018/05/19(Sat) 19:02:27 |  Coffee, Cigarettes & Music